時代に求められる紙容器リサイクル
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時代に求められるリサイクル
近年、企業の取り組みとして「サステナビリティ」や「環境配慮」「SDGs」というワードが頻繁に登場し社会全体としても当たり前の考え方として定着しつつあります。
食品容器の業界においても、ペットボトルや食品トレーなどは様々な商品へ積極的にリサイクルが実施されています。
ではプラスチックは積極的にリサイクルの取り組みが広がっている中、「紙容器」のリサイクルはどうなっているのでしょうか。
今回は紙容器の最新のリサイクル事情についてご紹介していきます。
紙容器リサイクルの現状
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紙容器のリサイクルはほとんど進んでいないのが現状です。
全国の家庭から排出される紙容器のリサイクル率は24.5%、これはプラスチックのリサイクル率57%と比較しても低い水準になります。
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引用:容器包装のリサイクル率の割合 | CYQL PPROJECT
その為、全体の約7割程度が焼却、又は埋め立てという方法でリサイクルがされずに処理されているのです。
日本では現在、紙容器は焼却処理されても熱エネルギーとして新たに再利用されています。
ですが結局のところ焼却処理している為、紙容器はリサイクルが進んでいるとは言えないのです。
なぜ紙容器のリサイクルは広がらないのか
理由は、公益財団法人古紙再生促進センターが定める古紙分類において紙容器は“禁忌品”に指定されているからです。
その為、基本的に紙容器はリサイクルできずに可燃ごみとして処理されています。
紙容器が禁忌品に指定される原因は大きく分けて2つ御座います。
食品残渣
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食品残渣がついた紙、例えばビザ箱や紙コップのように食べ物や飲み物が直接ついたものは、リサイクルできません。
理由は食品残渣が混ざってしまうと次に新しくリサイクル製品にする際に、その製品の品質を下げてしまう為です。
他、臭いの付いた紙等もリサイクル不可とされています。
ラミネート・フィルム加工
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耐水加工のされたラミネート紙なども禁忌品の中に含まれるため、リサイクルできません。
その為、耐水性や耐油性がなくラミネート加工等せざるを得ない紙容器はリサイクルが不可となってしまいます。
また、ラミネート・フィルム加工された紙が禁忌品である理由としては、こちらも食品残渣以外にも不純物が混ざってしまうことで次に新しくリサイクル製品の品質を下げてしまう為です。
現状では、再資源化される際に設備の整った製紙リサイクル工場であれば、離解・徐塵 という段階で樹脂片や異物をパルプ(原紙)と分離することが可能ですが、まだ一部の製紙リサイクル工場のみ可能な技術な為、一般的には耐水加工のされたラミネート紙などはリサイクルが難しいと言えます。
新しい紙容器リサイクルに向けての取り組み
今後の課題としては、いかにそのまま捨てられるものを減らしリサイクル可能な資源に生まれ変わらせるかが重要となっています。
そういった課題を解決するために、近年各社が問題解決に向けて新しい取り組みをスタートさせています。
ここからは最新の紙容器のリサイクルをご紹介していきます。
東罐興業株式会社 「Re-CUP WASHER(リカップウォッシャー)」

東罐興業株式会社の「Re-CUP WASHER」は、単純に汚れが付着しているという食品残渣問題でリサイクルできない紙コップに対して、消費者に直接洗浄してもらうことで「廃棄物」→「再生資源」を可能にする紙コップ洗浄機です。
実際に消費者にも参加と理解を促すことで、リサイクルの改善意識にも繋がります。

東罐興業株式会社では、使用済みカップから再生紙原料を抽出し、段ボールやトイレットペーパーなどの再生品へ活用、さらには新しいリサイクルカップを製造することで「CUP TO CUP Recycling System」モノからモノへと限りある資源を循環させるマテリアルリサイクルの実現を目指しています。
北越パッケージ株式会社「Halopack(ハロパック)」®


北越パッケージ株式会社の展開するオランダ発の「Halopack(ハロパック)」®は、紙のブランクスに高機能多層フィルムを溶着させ成型した密封可能な紙容器です。
紙容器として使用後は内側のフィルムを剥がして、紙とフィルムに分別ができます。紙がフラットになることから、効率的に回収ができ、雑がみとしてリサイクルができます。
*分別は地方自治体により異なります。
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常温・冷蔵・冷凍の各種温度帯向け食品に対応しており、電子レンジでの使用も可能です。また、紙容器でありながらフランジに段差がないため、トップシールにバリアフィルムを使用する事でMAP包装ができます。鮮度保持や賞味期限延長によるフードロス削減にも繫がる紙容器です。
紙が支持体のため約70-90%のプラスチック使用量削減につながるとされています。
在オランダ紙容器成型メーカーと高機能紙容器「Halopack」™の 本邦における独占製造販売契約を締結
株式会社スマイル 「BioPBS紙コップ」
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株式会社スマイルの展開する「BioPBS紙コップ」は内側ラミネート加工に※BioPBS(TM)を用いることでコンポストでの堆肥化を可能にした紙コップです。
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「BioPBS紙コップ」は良好な環境下でのコンポストした場合、最短24時間で堆肥化が完了します。
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現在、スポーツイベントや体験型サスティナブルイベント等でも採用されています。
※BioPBS(TM)は、三菱ケミカル株式会社が開発した植物由来の生分解性樹脂です。自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解が可能。また、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・柔軟性などで優れた性能を有しています。
循環型社会に貢献!使用後に堆肥化する紙コップ「BioPBS紙コップ」を11月より発売
・さらなる生分解性容器のバリエーション展開
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株式会社スマイルでは生分解容器・紙蓋の展開も開始しています。こちらも「BioPBS紙コップ」同様、内側ラミネート加工に※BioPBS(TM)を用いることでコンポストでの堆肥化を可能にした紙容器です。
紙容器本体のみでなく蓋も生分解性する為分別が不要、丸ごとコンポスト可能なので野外イベント等での活躍が期待されます。
包装資材を扱う立場として
紙容器はプラ容器で問題視されているような、海洋マイクロプラスチックが排出される問題は無く、今後我々が改善していかなければならない環境問題に対しては適切な素材ではあります。
一方、紙容器のリサイクルは簡単ではないため結局は焼却されCO²を排出してしまっている事実は押さえておく必要はあります。
今求められているのは、使い捨てでそのまま捨てられるものを減らし、資源に生まれ変わらせる再生可能なリサイクルです。
今回ご紹介致しました、各社最新の紙容器リサイクル事例は様々な取り組みで活用が広がっております。更に近年では「生分解性」という言葉も珍しくは無くなってきました。
包装資材を扱う立場としてこのような紙容器リサイクルに関する新しい取り組みには注目したいところです。
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