”食品容器””食品包装”とは何か?素材と役割から読み解く実用ガイド
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食品包装・容器は、ただの“入れ物”ではありません。食品の鮮度や安全性、使いやすさに直結する重要な資材であり、素材の選定は商品の価値そのものに関わります。
本記事では、食品包装の構造と形状や食品容器に使用される代表的な素材、求められる役割などについて解説します。
1. 食品包装の構造と形状の種類
食品包装は、中身の保護や使いやすさ、流通の効率化を実現するために、さまざまな構造や形状が工夫されています。多様な選択肢があり、食品の特性や使用場面に応じて最適な形状が選ばれます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
密封包装
密封包装は、外気と遮断することで内容物の劣化や微生物の侵入を防ぐ包装方法で、食品の保存性を高める基本的な構造です。密閉包装はフタなどで物理的に空気を遮断する形式で、加熱殺菌と組み合わせた密閉殺菌包装はレトルト食品などに用いられます。
ガス封入包装やガス置換包装は、内容物の酸化や変質を防ぐために、空気を抜いて代わりに窒素や二酸化炭素などのガスを封入します。
脱酸素包装は酸素吸収剤を使って内部の酸素を除去し、無菌充填包装は殺菌後に無菌環境で充填・密封される方式で、生菓子や紙パック飲料などに使用されます。用途や食品の特性に応じて適切な方式が選ばれます。
真空包装
真空包装は、内部の空気を抜き、真空状態にして密封することで、酸化や微生物の増殖を抑え、食品の品質や鮮度を保つ構造です。食品にぴったりとフィットする密着性の高さから、スペース効率にも優れています。
真空包装は加工肉や乾物、冷凍食品などに広く用いられており、保存期間の延長に大きく貢献します。
深絞り包装は、上下のフィルムで内容物をしっかり包み込み、真空状態でフィルムを密着させる方式で、比較的大きな食品や立体的な形状のものに適しています。
トレー容器
トレー容器は、底面が浅い皿状の形をしており、食品を見せながら保護・収納するために使われます。
素材にはPSPやPPなどが多く、使い捨ての惣菜容器や精肉、魚介類の陳列などに利用されます。
スキンパック
スキンパックは、食品の形に合わせてフィルムが密着するタイプで、真空状態を保ちながら商品の外観を美しく見せることができ、肉や魚など生鮮食品に多く採用されています。
トップシール
トップシールは、トレー上部にフィルムを熱で密着させて密封する方式で、内容物の鮮度を保ちながら開封も簡単にできるのが特長です。見た目と機能性を両立した包装技術です。
ピロー包装
ピロー包装は、フィルムで内容物を包み、シールで閉じて枕状に仕上げる方法で、スナック菓子や冷凍食品など幅広い製品に対応しています。機械適性が高く、大量生産に向いています。
シュリンク包装
シュリンク包装は、加熱によって収縮するフィルムを商品に密着させる方法で、容器やパック全体を包み込むことで外観の保護やパッケージの一体化が可能です。商品の見栄えをよくして、異物混入や汚れから守る役割も果たします。
2. 食品容器に使われる素材 ①プラスチック系容器

次は食品包装の中でも”食品容器”に使われる素材を解説します。プラスチック系容器は、食品容器においてもっとも多く使われる素材です。
多様な特性を持つため、用途に応じた最適な選定が求められます。
| 素材名 | 特徴 | 用途 |
| ポリプロピレン(PP) | 軽量・耐熱性 | 弁当容器や惣菜容器に使用 |
| ハイインパクトポリスチレン(HIPS) | 耐衝撃性・成形性 | 惣菜容器・刺身容器に使用 |
| 発泡ポリスチレン(PSP) | 軽量・断熱性・保温性 | 精肉・鮮魚のトレー・果物のトレーに使用 |
| 二軸延伸ポリスチレン(OPS) | 透明性・剛性 | フードパック・弁当の蓋・フルーツ容器に使用 |
| 非結晶ポリエチレンテレフタラート(A-PET) | 透明性・耐油性 | サラダ容器・デリカパックに使用 |
| 再生ポリエチレンテレフタレート | リサイクル原料 | 弁当の蓋・フルーツ容器に使用 |
| 生分解性プラスチック | 微生物分解 | ポリ乳酸(PLA)などがあり、環境負荷を軽減 |
ポリプロピレン(PP)
ポリプロピレンは、軽量で耐熱性に優れたプラスチック素材です。電子レンジ加熱にも対応できることから、弁当容器や惣菜容器などに使われています。透明性は低いものの、コストパフォーマンスに優れ、強度や柔軟性のバランスがよいため、業務用から家庭用まで幅広く活用されています。
ハイインパクトポリスチレン(HIPS)
ハイインパクトポリスチレンは、ポリスチレンにゴム成分を加えて耐衝撃性を高めた素材です。成形性が高く、滑らかな表面仕上げが可能なため、主に惣菜・刺身などの容器に使用されます。透明性はやや劣りますが、無味無臭で食品容器に適しています。
発泡ポリスチレン(PSP)
発泡ポリスチレンは、名前のとおりポリスチレンを発泡させた素材で、保温性や断熱性に優れているのが特長です。軽量な素材で、精肉・鮮魚や果物のトレーなどに多く使われています。ただし、耐熱性がやや低いため、高温の食品や電子レンジ使用には不向きな点には注意が必要です。
二軸延伸ポリスチレン(OPS)
二軸延伸ポリスチレンは、ポリスチレンを縦横の二方向に延伸して強度と透明性を高めた素材です。シャープな透明感と優れた剛性があり、弁当の蓋やデザートカップ、フルーツ容器など、商品の見た目を引き立てる用途に適しています。ただし耐熱性・耐油性には乏しく、高温環境では変形のリスクがあります。
非結晶ポリエチレンテレフタラート(A-PET)
非結晶ポリエチレンテレフタラートは、透明性と耐油性に優れた非結晶タイプのPET素材です。食品の外観を美しく見せたい用途に適しており、サラダ容器やデリカパックなどで広く使用されています。冷蔵保存用途において特に力を発揮する素材です。
再生ポリエチレンテレフタレート
再生ポリエチレンテレフタレートは、使用済みPETボトルなどを再利用して作られた環境配慮型素材です。非結晶ポリエチレンテレフタラートと同等の透明性と機能性を持ちながら、資源循環型社会に貢献できる点が評価されています。食品安全性への配慮から、適切な洗浄・再生工程を経た素材が使用されます。
生分解性プラスチック
生分解性プラスチックは、自然界の微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解される環境配慮型素材です。ポリ乳酸(PLA)などが代表例で、焼却処理や海洋流出などの環境負荷を軽減することが期待されています。ただし、使用条件や分解環境には一定の制約がある点に注意が必要です。
3. 食品容器に使われる素材 ②紙・アルミ・ガラス
食品容器に使われる素材は、環境配慮や保存性などの観点から、紙・アルミ・ガラスといった素材も重要な選択肢となります。それぞれの特性を見ていきましょう。
紙容器
紙容器は、再生可能資源である木材由来の素材を使用しており、環境への配慮が求められる現代において注目されています。加工のしやすさと軽量性を生かし、弁当箱、カップ、スリーブなど幅広く使用されています。耐水・耐油性を高めるためにラミネートされることが多く、用途に応じた改良が進んでいます。
アルミ容器
アルミ容器は、優れた耐熱性と遮光性、さらに密封性を兼ね備えた素材で、加熱調理や長期保存が必要な食品に適しています。レトルト食品や冷凍食品、調味料容器などに広く利用されています。また、リサイクル性にも優れており、使用後の再資源化が可能なことから、環境負荷の低減にも貢献できる素材です。
ガラス容器
ガラス容器は、非透過性・耐薬品性に優れた素材で、風味や香りを長く保ちたい食品の保存に適しています。高級感のある見た目や再利用性の高さから、調味料や飲料、ジャムなどの容器として多く採用されています。重量があり割れやすいという欠点はあるものの、環境負荷の低さや長寿命といった利点が見直されています。
4. 食品包装・容器に求められる役割

食品包装・容器は、単なる「入れ物」にとどまらず、食品の品質や安全性、環境配慮、さらには流通や販売効率にも深く関わる重要な資材です。
ここでは、食品包装・容器に求められる主な5つの役割について解説します。
①食品の劣化を防ぐ
食品は時間の経過とともに、酸化や乾燥、湿気、紫外線、微生物などさまざまな要因で劣化していきます。食品包装・容器の重要な役割の一つは、こうした外部環境から食品を保護し、鮮度や風味、食感などをできるだけ長く保つことです。
例えば、酸素の侵入を防ぐバリア性フィルムや、光を遮るアルミ素材などは、酸化による変色や味の変化を防ぎます。また、湿気を防ぐために防湿性の高い素材が選ばれたり、生鮮食品では真空包装やガス置換包装が使われることもあります。
さらに冷凍・冷蔵流通に耐え得る強度や密閉性も必要であり、食品ごとに適した容器設計が求められます。
②衛生的に保管しやすくする
食品包装・容器には、細菌やウイルスなどの微生物の侵入を防ぎ、衛生的な状態を保つという役割もあります。特に、常温で保存される加工食品や長期保存が前提となるレトルト食品、冷蔵・冷凍食品では、密封性や耐熱性が求められます。
近年では、製造ラインにおいて無菌充填が行われる製品も増えています。また、家庭内での保管においても、フタがしっかり閉まる容器や、再封可能なチャック付きパッケージなどは、衛生を保ちやすい工夫として評価されています。使用後に包装・容器の中に雑菌が繁殖しにくい素材や構造も、食品安全の観点から重要な要素です。
③消費者にとって使いやすい形状
消費者の立場に立った設計も、食品包装・容器の重要な役割です。開けやすく、注ぎやすく、保存しやすいといった「使いやすさ」は、製品の価値やリピート購入にも大きく影響します。 例えば、ワンタッチで開封できる容器や、手を汚さずに取り出せるパウチタイプ、少量ずつ使える分包タイプなどは、忙しい現代人のライフスタイルに合わせた形状として支持を集めています。
また、視認性の高い透明素材を使ったり、容器自体に残量が分かる目盛りを入れたりする工夫も、使いやすさを高める要素です。近年は、高齢者や子どもにも配慮したユニバーサルデザインへの取り組みも進んでおり、誰もが快適に使えるパッケージ開発が求められています。
④リサイクルのしやすさといった環境対応
環境への配慮も、食品包装・容器設計における大きなテーマです。近年では環境負荷の低減も重要な課題となっており、「プラスチック資源循環戦略」に基づき、再生プラスチックやバイオマスプラスチックの利用などが推進されています。これにより、包装・容器の安全性とともに、持続可能性への配慮も包装・容器選定の重要な視点となっています。
さらに、2022年に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」では、製品の設計段階から排出・回収・再資源化までを見据えた取り組みが求められています。特に食品包装・容器においては、市区町村による分別収集や事業者の自主的な回収・リサイクル体制の構築が進められており、環境負荷の低減に資する素材や構造の選定が一層重要になっています。
⑤法規制や表示ルールへの適合
食品包装・容器には、関連法規や業界基準に適合していることも必須です。日本では「食品衛生法」により、食品に直接触れる包装・容器には安全性が求められます。例えば、食品衛生法第18条では、以下のように記されています。
第十八条 内閣総理大臣は、公衆衛生の見地から、食品衛生基準審議会の意見を聴いて、販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。
引用:e-GOV法令検索 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)
加えて、包装・容器に関する表示ルールの適合も重要です。例えば、「食品表示法」に基づき、食品パッケージにはアレルゲンや消費期限、保存方法、原材料名など、消費者が安全に商品を選べるための情報を明記することが義務付けられています。これにより、食品包装・容器は「表示を行うための媒体」としての役割も担っており、法的要件を満たすために表示面の設計や材質選定にも注意が必要です。
こうした法規制や表示義務を正しく理解し、適切に対応することは、消費者の信頼確保とトラブル回避のためにも欠かせません。
5. まとめ
食品包装・容器は、食品の品質や安全性を守るだけでなく、消費者の利便性や環境への配慮、さらには法的な適合性まで多くの役割を担っています。
本記事で取り上げたポイントをあらためて整理すると、次のようになります。
①素材ごとの特性理解が不可欠
プラスチック、紙、アルミ、ガラスなど、各素材は用途に応じた特徴があり、最適な選定が食品の品質維持や商品価値に直結します。
②構造・形状は機能性と訴求力の両立が重要
密封、真空、トレー、スキンパックなどの構造は、食品の特性や販売シーンに応じて選ばれ、保存性や見た目、使いやすさに影響します。
③食品包装・容器は“機能資材”としての役割を持つ
劣化防止・衛生確保・使いやすさの提供など、容器・包装自体が食品の一部としての重要な役割を果たしています。
④環境配慮とリサイクル性への対応が求められる時代
生分解性素材の採用やリサイクル設計など、持続可能性を意識した包装・容器開発が社会的な要請となっています。
⑤法令・表示への適合が信頼性を左右する
食品衛生法や食品表示法など、各種法規制への対応は、企業の信頼性やコンプライアンス体制の一端を担っています。
食品包装・容器は単なる「入れ物」ではなく、食品の安全性・品質・流通・環境配慮を支える総合的なインフラともいえる存在です。
今後も包装・容器の素材や技術の進化に注目しながら、製品や消費者ニーズに応じた適切な包装・容器選定と対応が求められていきます。
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