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包装資材のプロなら知っておきたい!容器包装リサイクル法の基本と対応策

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1995年に制定され、2000年に完全施行された"容器包装リサイクル法"

この法律は私たちの暮らしに密接に関わる環境関連法のひとつです。

本記事では、同法の目的や仕組み、現状の課題、そして今後の展望について分かりやすく整理して解説します。

1.容器包装リサイクル法とは

容器包装リサイクル法の概要

容器包装リサイクル法は、家庭から排出される容器や包装資材の廃棄物を、リサイクルを通じて資源として再利用することを目的とした法律です。本法は1995年に成立し、1997年に一部施行、2000年に完全施行されました。

この法律は環境基本法を母体とするリサイクル関連法のひとつであり、「家電リサイクル法」「食品リサイクル法」などと並ぶ重要な法制度です。

参考:環境省 容器包装リサイクル法とは

参考:日本容器包装リサイクル協会 容器包装リサイクル制度

容器包装リサイクル法の施行の背景

1990年代初頭、日本では家庭から出るゴミの量が急増しており、特に容器や包装材がゴミ全体の容積の約6割を占めるという状況が社会問題となっていました。限られた処理施設の容量を超えかねないという危機感から、容器包装廃棄物の発生抑制と再資源化の必要性が高まり、本法の制定に至りました。

容器包装リサイクル法の対象

容器包装リサイクル法の対象となるのは、次の4種類の素材です。

■ 対象となる容器包装の4分類

種類 対象開始年 主な例
ガラス製容器 1997年 飲料瓶、調味料瓶など(無色・茶色・その他)
ペットボトル 1997年 飲料用、しょうゆ、酒類など
紙製容器包装 2000年 菓子箱、紙袋など(段ボール・紙パックを除く)
プラスチック製容器包装 2000年 レジ袋、食品トレイ、ラップ、チューブなど

※アルミ缶、スチール缶、段ボール、紙パックは他制度(例:資源ごみ)で回収・リサイクルされています。

※段ボールと紙パックは「紙製容器包装」の対象外です。

それぞれのリサイクル方法

素材ごとに異なる再資源化方法がとられています。

種類 リサイクル方法
ガラス製容器 洗浄・破砕して「カレット化」し、新たなガラス瓶、建築資材、タイルなどに再利用
ペットボトル 破砕・加熱して粒状に加工(ペレット)、もしくはモノマー化(化学分解)で化学原料にし、新しいペットボトル、繊維、シートなどへ
紙製容器包装 ①製紙原料として再利用(→ 紙、板紙、パルプモールドなどに活用)
②古紙再生ボード・燃料化(溶鋼用材料や固形燃料(RDF・フラフ)として利用)
③複合的利用(選別後に上記①②の組み合わせで再資源化)

プラスチック製容器包装

材料リサイクル: 洗浄・破砕後、再生プラスチック・ペレットなどに
油化: 熱分解で油に変換し、燃料や化学原料に
高炉還元剤化: 製鉄所で鉄鉱石の還元に使用
コークス炉原料化: 熱分解して化学の原料などの供給物に
ガス化: 水素・一酸化炭素など合成ガスへ
固形燃料化: 熱利用できるRPF・フラフ燃料として再生

※使用後のプラスチックは、特性に応じて6つの方法でリサイクルされます。

2.容器包装リサイクル法の仕組み

容器包装リサイクル法では、消費者・行政・事業者が、それぞれ役割を分担しています。それぞれが機能することで、リサイクルの仕組みが成立します。

容器包装リサイクル法における「消費者・行政・事業者」の役割

【消費者】=「正しく分けて出す人」

決められたルールに沿って、ゴミをきちんと分別して出すのが基本的な役割です。

例えば、プラマークの付いた包装を「容器包装プラスチック」として出すなど、分類の知識が必要であり、出す前には、軽く洗う・ラベルをはがすなど、リサイクルしやすい状態にする配慮も大切です。

リサイクルを進める第一歩は、「出し方を正しくすること」です。

【行政】=「集めて、つなぐ人」

市区町村などの自治体は、分別された容器包装を回収・保管します。その後、リサイクルを担う事業者に引き渡すまでが役割です。

分別収集ルールの策定や住民への周知も行政の重要な任務です。

【事業者】=「リサイクルを担う人」

ここでの「事業者」は、商品を販売・提供する企業(特定事業者)や、リサイクル業務を行う企業を指します。

行政から引き渡された資源を、実際に再商品化(リサイクル)するのが主な役割です。

多くの場合、自社ではなく「指定法人」「再商品化事業者」に委託してリサイクルを実施しており、責任のある対応が、企業の信頼性や持続可能な取引にも関わってきます。

【補足】包装資材ディーラーの立場は?

包装資材ディーラーは、容器包装の製造・流通に関わる存在として、事業者側の一員です。

環境配慮素材の提案や、顧客(メーカー)への法対応のアドバイスなどで、業界全体のリサイクル推進に貢献する立場でもあります。

3.リサイクルをする際、企業が支払う費用とは

容器包装リサイクル法では、企業がリサイクルの費用の一部を負担するしくみになっています。これは「拡大生産者責任(EPR)」という考え方に基づいたものです。

拡大生産者責任とは

企業が製品を売るだけでなく、その製品がゴミになったあとの責任も持つというルールです。つまり、商品に使った容器や包装が回収・リサイクルされるまでが企業の責任とされています。

どうして費用を払うのか

企業が自治体からゴミを直接回収してリサイクルするのは現実的ではありません。そこで、「日本容器包装リサイクル協会」という指定法人にリサイクルを代わりにお願いする仕組みがつくられました。このとき、企業は「リサイクル委託料」を支払うことで、法的なリサイクルの義務を果たすことになります。

リサイクル委託料の支払い義務が"ある企業"と"ない企業"

リサイクル委託料の支払い義務がある企業

・容器包装を利用して中身商品を販売している企業

・商品を販売する際に容器や包装を利用する小売・卸売企業

・容器を製造もしくは輸入している企業

・容器包装を用いた商品を輸入・販売している企業

リサイクル委託料の支払い義務がない企業

・売上高が2億4,000万円以下かつ従業員数が20名以下の製造業など

・売上高が7,000万円以下かつ従業員が5名以下の商業・サービス業

企業が支払うリサイクル委託料は、次の計算式で算出します。

(家庭から排出される容器包装の量(各企業)×算定係数(再商品化義務量))×(リサイクル見込総費用÷委託申込みの見込量(全企業)(再商品化実施委託単価))

再商品化義務量は、全国の家庭から排出される容器包装のゴミの総量のうち、全国の企業がリサイクルすべき量の割合です。これは容器包装の用途(業種)により異なります。また、算定係数は毎年度実施される国に調査結果により定められます。

再商品化実施委託単価は、当該の年度でリサイクルにかかる見込みの総費用を、全国の企業からのリサイクル委託申込み見込量で割ったものです。委託申込みの見込量は前年度の11月ごろに策定され、公表されます。

4.容器包装リサイクル法の現状とこれからの課題

2000年に完全施行され、何度かの改正を経た今、容器包装リサイクル法が抱える課題とはどのようなものなのでしょう。

容器包装リサイクル法の現状

容器包装リサイクル法が完全施行された2000年の一般廃棄物総排出量は5,483万トンでした。そして2021年は4,095万トンと約26%減少しました。しかし、容器包装のゴミの容積比率は2006年に全体の58.1%だったのに対し、2022年は63.4%と増加しています。

比較対象が異なるため一概にはいえないものの、ゴミの総量自体は減少していますが、容器包装ゴミの削減は必ずしも順調に進んでいるとはいえません。また、リサイクル率も2011年に20.6%なのに対し、2022年は19.6%と逆に下がっているのが現状です。

容器包装リサイクル法のこれからの課題

容器包装リサイクル法の現状を踏まえ、今、抱えている主な課題は次のとおりです。

1. 容器包装リサイクルに関するコストの増加

容器包装リサイクルを行う上で、容器包装ゴミの収集や分別にかかるコストが年々増加しています。その結果、適切な収集、分類ができずにリサイクルができないケースが少なくありません。

2. 特定事業者が支払う再商品化委託費の増加

特定事業者が指定法人に支払う再商品化委託費も年々増加しています。リサイクル義務を適正に負わない事業者が増え、罰則を強化したものの、市町村によってはリサイクルを行うための十分な資金が伴わないケースも多いようです。

3. ペットボトルの国外流出

使用済みのペットボトルが国内でリサイクルされずに国外に流出していることも、リサイクルが進まない課題の一つです。年々増加する原油価格やペットボトルの資源としての価値が高まったことで、かなりの量のペットボトルが国外に流出しています。

解決に向けたポイント

消費者の意識改革

容器包装リサイクルにかかるコストを削減するには、消費者一人ひとりの意識改革が欠かせません。ペットボトルやガラス瓶を捨てる際は、中身をしっかりと洗浄する、ラベルやキャップは外すなどが必須です。

また、ペットボトルはそのままではなく、潰してから捨てればかさばらず容積も減らせます。さらにポイ捨ても厳禁です。必ず分別した上で、市町村ルールに従って適切に捨てる必要があります。

事業者の責任ある行動

事業者も容器包装リサイクル法に従ってリサイクルを進めていくことが重要です。委託料はしっかりと支払い、ただ乗りをせず、リサイクルを行います。

また、行政も直接、再商品化事業者とやり取りするのではなく、指定法人と引取契約を交わすことでそれぞれの責任の明確化が必要といえるでしょう。

包装資材ディーラーとしてどう動くべきか?

包装資材ディーラーは「容器包装の入り口」に立つ存在として、今後のリサイクル社会を支える重要な役割を担います。

具体的な対応ポイント

1. 環境配慮型素材の提案

  ・バイオマス素材、再生プラスチック、ラベルレス対応など。

  ・リサイクルしやすい形状や素材を提案し、排出後の負担を軽減。

2. 法改正・制度のアップデートに対応

  ・特定事業者やメーカーへの情報提供・アドバイスを行う。

  ・委託料計算や素材表示(識別マークなど)のサポート。

3. 「適切な使い方・捨て方」も提案に含める

  ・素材だけでなく、廃棄・分別しやすい設計も重要。

  ・最終的な排出者(消費者)の行動までを見据えた提案を。

4. 顧客と一緒に「使い捨てから循環」へ

  ・「使い切り」から「回収→再資源化」への流れに寄り添った商品開発・提案へシフト。

5.まとめ

容器包装リサイクル法は、私たちの暮らしと深く関わる環境法であり、資源を「捨てる」から「活かす」社会への転換を目指す制度です。完全施行から20年以上が経ち、ごみ総量の減少など一定の成果がある一方、容器包装ごみの質的課題やリサイクルの行き詰まりといった新たな問題も顕在化しています。この仕組みを持続的に機能させるためには、消費者の分別意識、行政の的確な運用、そして事業者の責任ある対応が求められます。中でも包装資材ディーラーは、容器包装の「入口」に立つ立場として、環境配慮型素材の提案や法対応の支援、そして「使いやすく、捨てやすい」設計の推進といった多面的な役割を担う必要があります。

単なる包装材の供給者から、「循環をデザインするパートナー」へ。

社会全体の資源循環を支える存在として、今後ますますその使命が問われる時代に突入しています。

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