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耐寒性だけじゃない? 冷凍食品向け 容器・フィルムの選び方

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よりよい冷凍食品を届けるために容器・資材に求められること

今や食生活の中で当たり前になっている冷凍食品。

高齢化社会の拡大や冷凍技術の進歩による味の向上などから近年、市場は拡大を続けています。

その中でも味が向上した要因として、食品だけでなく、使用する容器、フィルムが進化し続けているのをご存じでしょうか。

この記事では、冷凍食品に使用する容器、フィルムの工夫、ポイント、また選び方についてご紹介していきます。

最後には、実際の商品も紹介しておりますので、食材を入れるイメージをしながら資材選びの参考にしてみてください。

コールドチェーンとは

まずはじめに、コールドチェーンについてご紹介していきます。

コールドチェーンとは、食品物流の1つで生鮮食品や冷凍食品など低温管理が必要な商品を生産~消費者に送るまで所定の温度(低温、冷蔵、冷凍)を保ったまま管理し、流通させる仕組みのことをいいます。

冷凍食品にとって温度管理はかなり重要で、流通している中で温度が上昇してしまうと、食品の品質が保たれず、売り物にできなくなってしまいます。

そのため冷凍食品にとってコールドチェーンは大切なポイントです。

このコールドチェーン内の各段階において衛生的かつ鮮度を保持した状態で冷凍食品を取り扱うには容器やフィルムなどの使用が不可欠です。

さらにそれぞれの食品に合った容器、資材を選択することでよりおいしく、よい状態で冷凍食品を流通させることが可能になります。

冷凍食品向け容器選びのポイント

ここからはまず、冷凍食品を取り扱う際の、容器選びのポイントを詳しくご紹介していきます。

ただ冷凍ができるだけでなく、それぞれの流通方法、販売方法、調理方法などに適した容器を選択することで冷凍食品をより良い状態で扱うことが可能となります。

耐寒性(材質)

冷凍食品と聞いて、はじめに浮かぶ重要ポイントとしては、「耐寒性」が挙げられるのではないでしょうか。

別記事でもご紹介しておりますように、冷凍食品の基準の1つに「生産・貯蔵・輸送・配送・販売のすべての段階において、常に商品の温度が-18℃以下に保たれるように管理する必要がある」という基準があります。

そのため、冷凍食品に使用する容器として、-18℃以下の温度帯に耐えられる必要があるのです。

しかし、輸送や販売など条件はさまざまです。温度条件や衝撃の大きさによっては、破損などを生じる場合がありますので、事前に使用条件でのテストは必ず必要となります。

形状

さらには、耐寒性だけでなく、形状の工夫も必要です。

冷凍食品のパッケージ内に気づいたら霜がついてしまっている経験がある方も多いのではないでしょうか。霜が発生する原因の1つとして、食品とパッケージの間に隙間ができているということが挙げられます。

できるだけ食品と容器の間の空間をなくすことで、食品内の水分の蒸発を防ぐ=霜を防ぐことにつながります。

また、容器をそのまま電子レンジなどで加熱する場合には、さらに形状の工夫が必要です。

冷凍食品を電子レンジで加熱する際、端に熱が当たりやすく、中心には熱が当たりにくいという特徴があります。

そのため、熱が入りすぎた端は焦げにつながり、逆に中心は解凍が完全にできていないなど半解凍の状態になるなど、加熱ムラが発生してしまうケースがあります。

加熱ムラを防ぐには、容器形状の工夫が効果的な場合があります。中心の底を少し盛り上がった形状にすることや、容器の高さを低くするなど熱があたる面をできるだけ広くすることで、加熱ムラ解消につながる場合があります。

耐熱温度

さらには、電子レンジ解凍する場合、耐熱温度も大変重要なポイントとなります。

食品を電子レンジで加熱すると、一般的に100℃前後まで温度が上昇します。そのため使用する容器は、110~130℃までの耐熱温度が必要となります。

冷凍食品に使用する容器をそのままレンジアップするには、-18℃以下から100℃以上というかなり幅のある温度帯に対応する必要があります。その中で破損や変形がなく、食品を安全に消費者へ届けることは現在、当たり前のようになっていますが、かなり難しい技術なのです。

今回は冷凍食品容器の主なポイントをご説明いたしましたが、冷凍する食品に応じたポイントも様々あります。必ずテストを行い、食品にぴったりの容器を選ぶことが大切です。

冷凍食品向け資材(フィルム)選びのポイント

ここからは、冷凍食品に使用する包装として、フィルムを中心に選択のポイントをご紹介していきます。冷凍食品を流通・販売する場合はほとんどの場合、フィルムが使用されており、容器を使用せずフィルムのみで包装している場合も多く見られます。

冷凍食品の外装フィルムや食品を直接包装している内装フィルムなど

普段当たり前のように使用されている冷凍対応のフィルムにもたくさんの工夫がされています。

耐寒性・耐熱性

冷凍食品に使用されるフィルムには当然のことながら、-18℃以下の長時間の輸送にも耐えられる耐寒性が必要です。

一般的には、ナイロン素材、PET素材、PE系シーラントフィルムなどはマイナス温度帯に強く、OPPやCPPまた複合素材であるOPCPは-20℃以下になると脆くなるという特徴があります。

そのため、冷凍対応フィルムの材質としては、ナイロンとLLDPEの組み合わせのフィルムが多くあります。

また、約100~130℃の耐熱性があるフィルムの場合は、ボイル殺菌やレンジアップも可能となります。

また、冷凍食品の外装フィルムでは、表面に商品名や成分表示などの印刷が必要になるため、

低温時でもインクが流れにくい材質を選択することも必要です。

一般的には、アルミを複合したフィルムが使われる場合が多いでしょう。

耐ピンホール性、耐衝撃性

冷凍食品に使用するフィルムにとって、耐ピンホール性、耐衝撃性はかなり重要なポイントです。

突き刺しによるピンホールは、通常、肉や魚の骨などの先の尖った箇所のある食品がフィルムに押し付けられることにより発生しますが、食品を冷凍することにより、通常柔らかい食品もすべて固くなり、また先端ができやすく、ピンホールのリスクは高まります。

そのため、フィルムを厚くすることや、ナイロン素材を使用することで耐ピンホール性や耐衝撃性を高めることができます。

密着性

容器と同じように、食品への密着性も大切なポイントです。

食品とフィルムの間に隙間ができると、食品からの水分の蒸発により霜が発生します。

霜が発生してしまうと、見た目や食品の品質が落ちてしまいます。

霜を防止するためには、真空包装や脱気包装が解決策の1つにあります。

真空包装対応フィルムを選択することで、食品の品質を長く保ち、また見た目もよい冷凍食品の製造が可能になるでしょう。

冷凍食品向け容器のご紹介

ここからは、これまで紹介してきましたポイントを踏まえ、冷凍食品向け容器のご紹介をしていきます。

材質、形状、耐熱温度など各製品、様々な工夫がされています。

実際に入れる食品をイメージしながらぜひ容器選びの参考にしてみてください。

㈱エフピコ FT-TSシリーズ

はじめに紹介するのは株式会社エフピコのFT-TSシリーズです。

材質は株式会社エフピコの独自素材である耐寒PPi-タルクで、耐寒性はもちろん、耐熱温度も130℃と、電子レンジにも対応しています。

仕切りの高さもあり食材の位置がずれにくく、電子レンジ加熱の際も熱が当たりやすくなっています。

また、容器のフチが広い形状となっており、トップシールが可能です。さらに、トップシールの際に使われるバケットへ嵌りやすく作業性の良さも兼ね備えた商品となっています。

㈱パックスタイル BBデリシリーズ

次に紹介するのは、株式会社パックスタイルのBBデリシリーズです。

成長の早い竹と元々廃棄されていたバガスを使った環境にも配慮された冷凍対応容器です。

内側にはお米の付着をするPET加工がされており、また耐油、耐水、耐熱性も持ち合わせいる機能性も兼ね備えた商品です。

ナチュラルな色合いのため、食材の色がよく映え、彩りの良い印象になります。

東洋アルミエコープロダクツ㈱ コップ型容器

続いて紹介するのは、東洋アルミエコープロダクツ株式会社のコップ型容器シリーズです

プラスチックにはないカラフルな印刷ができるのが特徴で、結露や曇りで見づらいショーケースの中でも華やかな売り場にすることができます。

見た目だけでなく、冷凍、電子レンジ対応はもちろんオーブンにも対応しており、グラタンなどのメニューにも相性バツグンです。丸い形状のため、冷凍ムラ、解凍ムラが発生しにくくもなっています。

㈱コバヤシ 耐寒透明PPフードパック

最後の紹介するのは、株式会社コバヤシの耐寒透明PPフードパックです。

耐寒PP素材は、透明性を出すのが難しく、中身があまり見えないのが課題でしたが、従来品に比べ、透明性を高めた商品となっています。

また、落下・輸送時の衝撃による割れを低減しており、また冷凍自販機にも対応したサイズとなっています。そのままレンジアップも対応可能で、

餃子やお好み焼きなどの自販機での無人販売また大容量を生かした冷凍ミールキットとしての活用にも最適です。

冷凍食品向けフィルムのご紹介

次に冷凍食品向けのフィルム製品をご紹介していきます。

見た目の大きな違いなくとも、各製品において冷凍食品をよりよい状態で流通、販売するための工夫が数多くされています。実際に使用するイメージと重ねながら、ぜひフィルム選びの参考にしてみてください。

福助工業㈱ ナイロンポリTLタイプ

はじめに紹介するのは、福助工業株式会社のナイロンポリTLタイプです。

複数のフィルムを貼り合わせることで、-40℃の耐寒性、95℃のボイル殺菌、真空包装適性、耐ピンホール性、耐衝撃性などの多くの機能性を持った商品です。

サイズラインナップも豊富なので、使用する食品に合わせて選択が可能です。そのため食品とフィルムの間にできてしまう霜の対策をすることもできます。

明和産商㈱ バリアー性ボイル用雲流印刷スタンド袋

この商品は、-40℃での冷凍はもちろん加熱殺菌も可能なスタンド袋です。材質には非塩素系樹脂を使用しているため、環境にやさしく、またピンホール防止加工もされています。

表は中身が見えるようバリアー性のある透明フィルムが使われており裏面は雲流柄印刷がされています。冷凍~加熱殺菌対応、食材鮮度保持ができる点など機能面はもちろん、高級感のある柄とスタンドタイプ袋で、ディスプレイ効果も期待できます。

カウパック㈱ DP8.7-SK0120

次に紹介するのは、キャップ付底充填タイプの三角袋です。

使用されているフィルムはガスバリア性に優れており、-40℃の耐寒性、85℃30分のボイル殺菌にも対応しています。充填する食品としては、たれやおろしにんにく、ケチャップなどの調味料や、明太子、海苔の佃煮などの水産加工品の冷凍輸送、冷凍販売などにぴったりの商品です。

最適な容器、フィルム選びで冷凍食品をよりおいしく!

ここまで、冷凍対応容器、冷凍対応フィルム選びのポイント、また商品のご紹介をしていきました。

普段当たり前のように、流通、使用している冷凍食品の包装資材ですが、意外と注意点が多く、奥が深いのが伝わったのではないでしょうか。人手不足問題や物流コスト増の面などから、食品のロングライフ化は今後も注目が続くと思われます。冷凍・解凍メカニズム、資材選びのポイントを抑え、よりよい冷凍食品の製造の参考にしてみてください。

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